国内で買える投資信託は約5,800本あります(投資信託協会の統計より、2026年6月末時点)。
これだけあると、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
なんとなくランキング上位を選んだり、人に勧められるまま購入したり。
あとから「思っていたのと違った」と後悔することもあります。
先に結論だけ言うと、見るべきなのは手数料・運用実績・純資産総額・分散度・運用方針の5つです。
この記事では、その5つを順番に見ていきます。
投資信託とは?仕組みをざっくり理解しよう

投資信託とは、多くの投資家から集めたお金をひとつにまとめて運用する金融商品です。
運用するのはファンドマネージャー(運用の専門家)で、株式や債券などに投資します。

自分で銘柄を選ばなくていいってこと?
そのとおりで、個別の株を自分で選んで売買する必要がありません。
運用はプロに任せて、その成果(利益や損失)を投資額に応じて受け取ります。
投資信託の大きな特徴は、1本の商品で複数の投資先に分散できる点にあります。
たとえば日経平均株価に連動する投資信託なら、1本で200銘柄以上に分散できます。
全世界の株式に投資する商品では、その数は1,000銘柄以上になります。
個別株で同じ分散をしようとすると、まとまった資金と銘柄選びの手間がかかります。
もうひとつの特徴は、少額から始められることです。
証券会社によっては100円から購入できるため、「まずは少しだけ試してみたい」という方にも向いています。
一方で、注意しておきたい点もあります。
- 運用をプロに任せる対価として、信託報酬という手数料が毎日差し引かれる
- 元本保証はなく、運用成績によっては損失が出ることもある
- 売買のタイミングを自分で細かく決められない。取引は1日1回決まる基準価額(投資信託の値段)で行われる
個別株は自分で銘柄を選んでリアルタイムに売買できる反面、1社に集中するリスクがあります。
投資信託は分散と運用の手軽さが強みですが、その代わりに手数料がかかり、売買のタイミングも自分では選べません。
投資信託以外の商品も含めて投資の全体像から知りたい方は、こちらで基礎をまとめています。

選ぶ前に知っておきたい投資信託の種類

投資信託の種類は、「どんな方針で運用するか」と「何に投資するか」で分かれます。
商品名にも、この2つがそのまま入っていることが多いです。
インデックス型とアクティブ型の違い
| 項目 | インデックス型 | アクティブ型 |
|---|---|---|
| 運用方針 | 日経平均やS&P500などの指数に連動することを目指す | ファンドマネージャーが独自の判断で銘柄を選ぶ |
| 手数料(信託報酬) | 比較的低い | 比較的高い |
| 値動きの傾向 | 指数とほぼ同じ動きをする | 指数を上回ることも下回ることもある |
| 向いている人 | コストを抑えて長期で運用したい方 | プロの運用判断に期待したい方 |

初心者にはどっちが向いている?
手数料の低さと値動きのわかりやすさから、インデックス型を最初の1本に選ぶ方は多いです。
ただし、アクティブ型にも運用実績の優れた商品はあります。
「インデックス型が正解」と決めつけず、両方の特徴を見てから決めましょう。
国内・海外・バランス型の特徴
投資対象で分けると、大きく3タイプに分かれます。
- 国内株式型: 日本企業の株式を中心に投資。為替リスクがなく値動きを追いやすい
- 海外株式型: 米国や全世界の株式に投資。成長期待が高い反面、為替変動の影響を受ける
- バランス型: 株式・債券・不動産などを組み合わせて1本で分散。値動きがマイルドになりやすい
投資は、どれが「良い」というものではなく、自分がどの地域・資産に投資したいかで選ぶものです。
迷ったときは、投資対象の幅が広い「全世界株式型」や「バランス型」が候補になります。
どちらも1本で複数の地域や資産に分散できます。
個別株と投資信託でどちらが自分に合うか迷う場合は、下記の記事で違いを整理しています。

投資信託選びで見るべき5つのチェックポイント

ここからが本題です。
投資信託を比較するときに見ておきたいポイントは、次の5つです。
手数料(信託報酬・購入時手数料)
投資信託にかかる主な手数料は3つあります。
| 手数料 | タイミング | 目安 |
|---|---|---|
| 購入時手数料 | 購入時に1回 | 無料〜3%程度 |
| 信託報酬 | 保有中ずっと(毎日差し引き) | 年0.05%〜2%程度 |
| 信託財産留保額 | 売却時に1回 | 0〜0.5%程度 |
- 信託財産留保額は、解約するときに差し引かれて、その投資信託の運用資金としてそのまま残るお金です。かからない商品もあります。
- 購入時手数料が無料の商品は「ノーロード」と呼ばれます。
特に重要なのは信託報酬です。
保有している限り毎日かかるため、長期投資ではわずかな差が大きな違いになります。

0.1%と1%、そんなに変わる?
たとえば100万円を20年間持ち続けた場合を考えます。
信託報酬が年0.1%なら手数料の合計は約2万円、年1.0%なら約18万円です。
同じタイプの商品なら、信託報酬が低いものを優先して比較するのが基本です。
- 値動きがないものと仮定した概算です。実際の手数料は基準価額の変動によって変わります。
運用実績と指数とのズレ
過去の運用成績は将来を保証するものではありませんが、判断材料のひとつにはなります。
確認したいのは、ベンチマーク(目標とする指数)とのズレが大きくないかという点です。
インデックス型であれば、指数とほぼ同じ動きをしているかどうかを見ます。
ズレが大きい場合、運用がうまくいっていない可能性があります。
アクティブ型の場合は、ベンチマークを上回っている期間がどれくらいあるかを確認します。
見るのは3年・5年・10年など複数の期間です。
1つの期間だけでは、一時的な好調なのか安定しているのかが判断できません。
純資産総額と資金の出入り
純資産総額とは、その投資信託が運用している資金の合計額です。
- 純資産総額が小さいと、運用にムダが出たり、繰上償還(運用が途中で終了すること)になったりすることがある
- 逆に大きすぎることがすぐに問題になるわけではないが、規模に見合った運用ができているかは確認したい
- 多くの投資信託は「投資家が持っている口数の合計が30億口を下回ったとき」に繰上償還できると目論見書で定めています。純資産総額30億円がひとつの目安です。
あわせて、資金が流入傾向か流出傾向かも確認します。
継続的に資金が流出している投資信託は、投資家から選ばれなくなっている可能性があります。
投資対象の分散度
投資信託の中身がどの国・地域・業種に投資しているかを確認します。

中身ってどこで見られるの?
証券会社のファンド詳細ページや、運用会社が公開している「月次レポート」で確認できます。
投資している金額が大きい上位10銘柄や、地域別・業種別の構成比が載っています。
たとえば「全世界株式」と名前がついていても、実際には米国株の比率がかなり高い商品もあります。
名前のイメージだけで判断するのは危険です。
実際の構成を見て、自分が想定していた分散になっているかを確かめましょう。
運用方針の一貫性
投資信託には「目論見書(もくろみしょ)」という運用方針をまとめた書類があります。
購入前に一度目を通しておくと、その投資信託が何を目指しているかがわかります。
チェックしたいのは以下の点です。
- 投資対象や運用スタイルが途中で大きく変わっていないか
- 分配金の方針(再投資型か受取型か)が自分の目的に合っているか
- 運用会社の規模や実績に不安がないか
- 運用会社が金融庁の登録を受けているかは、金融庁の免許・許可・登録等を受けている事業者一覧で確認できます。
目論見書は難しそうに見えますが、最初の数ページにある「ファンドの目的」「投資方針」だけでも読んでおくと、商品ごとの違いが見えてきます。
初心者が陥りやすい投資信託選びの失敗パターン

投資信託の選び方を知っていても、実際に購入する場面では判断を誤りやすいポイントがあります。
ありがちな失敗パターンをまとめました。
ランキング上位だけで選んでしまう
証券会社のサイトには「売れ筋ランキング」や「値上がりランキング」が掲載されています。
つい上位の商品を選びたくなりますよね。
しかしランキングの基準は「直近の売買量」や「短期の値上がり率」であるケースがあり、自分の投資目的に合っているかとは別の話です。

じゃあランキングは見なくていい?
候補を絞る入口としては使えます。
ただし、ランキングに入っている理由を確認せずにそのまま買うのは避けたほうが安心です。
前の章で紹介した5つのチェックポイントと照らし合わせてから判断するのがおすすめです。
手数料を確認せず購入する
「有名な投資信託だから」「名前を聞いたことがあるから」という理由で、手数料を確認しないまま購入してしまうケースがあります。
特に注意したいのは以下の2点です。
- 購入時手数料がかかる商品を選んでいないか: 同じ運用内容でもノーロードの商品がある場合が多い
- 信託報酬の差を見落としていないか: 似たタイプの商品でも、年0.1%と年1.0%では長期で大きな差になる
「毎月分配型」など分配金が多い商品は一見お得に見えますが、分配金の元になっているお金が運用益ではなく元本の取り崩しになっていることもあります。
分配金が出るたびに元本が減っていくケースもあります。
「分配金=利益」ではないという点は覚えておきましょう。
また、「成績が振るわないから」と短期で別の投資信託に乗り換えるのもよくある失敗です。
投資信託は長期運用を前提とした商品が中心です。
数か月の成績だけで乗り換えると、売買のたびに手数料がかかります。
そのあと値上がりしても、その利益は受け取れません。
値下がりへの備え方や資金の配分については、リスク管理の記事で詳しく触れています。

新NISAで投資信託を買う場合の注意点

投資信託は、新NISAの口座でも購入できます。
同じ商品でも、NISA口座で買うと見るべきポイントが変わってきます。
まず知っておきたいのは、つみたて投資枠で買える投資信託は、金融庁の基準を満たした商品に限られているという点です。
手数料の上限や運用期間などの条件が決められており、長期・分散投資向きの商品が並びます。
国内には約5,800本の投資信託がありますが、この条件を満たすのは約350本です(2026年4月時点)。
一覧は金融庁のつみたて投資枠対象商品ページで公開されています。
一方、成長投資枠ではより幅広い投資信託を購入できます。
つみたて投資枠の対象外の商品も選べるため、自由度は高い反面、5つのチェックポイントを自分で確認する必要が出てきます。

つみたて投資枠と成長投資枠、どう使い分ける?
まずはつみたて投資枠で積み立てを始め、余裕が出てから成長投資枠を使う。
この順番で始める方が多いです。
ただし決まりがあるわけではないので、自分の投資目的に合わせて使い分けましょう。
もうひとつ、NISAは長期で持ち続けるほど非課税のメリットが大きくなります。
NISA口座では、運用で出た利益に税金がかかりません。
その代わり、損失が出ても損益通算(他の口座の利益と差し引きすること)はできません。
短期で売買を繰り返すと、年間の投資枠を先に使い切ってしまいます。
売却した分の非課税枠が再び使えるようになるのは翌年です。
新NISAの仕組みや口座開設の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。

まとめ:5つのチェックポイントで自分に合う投資信託を選ぼう

この記事では、投資信託を選ぶときに見ておきたい5つのチェックポイントを紹介しました。
改めて整理すると、以下の5つです。
- 手数料(信託報酬・購入時手数料): 長期保有ほど差が大きくなる
- 運用実績と指数とのズレ: 複数の期間で確認する
- 純資産総額と資金の出入り: 規模が小さい投資信託や資金流出が続く投資信託に注意
- 投資対象の分散度: 名前のイメージだけでなく中身の構成を確認する
- 運用方針の一貫性: 目論見書の「ファンドの目的」に目を通す
あなたに合う商品は、投資の目的や、どこまで値下がりに耐えられるかによって変わります。
なんとなく選ぶのではなく、自分なりの判断基準を決めてから比べてみましょう。
